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CAUTION

当作品は18禁です。
18歳未満の方、801という言葉に嫌悪を
持たれるお方は閲覧しないようにして下さいー。







奴にだけは借りを作るのは御免だと、
思っていたのに―――



Debt




「・・・・あの男、俺を過労死させる気か?」

大きな溜息と共に、低めの何処か恨みがましい呟きが広い室内に響く。
白い壁、雪影色のカーテン、オフホワイトのソファ、と落ち着いた佇まいの部屋の奥、大窓の前に
位置する執務机の上には、見るのも嫌になるほどの書類の山が築かれ、それと対面するように黒い革張りの椅子に
白銀色の髪をした男が腰掛けている。まるで氷のように冷たい、美貌と言っても大袈裟にならないほどの
端正な顔立ちには渋面を通り越して、憤りが刻まれていた。

「・・・・・・チッ、・・・・とはいえ借りを作るのは御免だからな」

ぴらりと、男は舌打ちしつつも自分に一番近い書類の山から一枚を手に取る。
国家機密とは無縁の、どうでもいい内容の書類。誰がやってもいいような。けれど、それは許されない決まりで。
男は眉間の皺を深めながら思う。面倒くさい、と。とはいえ、ここで片さねば後で更に面倒な思いをする事になるのは
目に見えている。それに自分が国外追放の刑に処されている間に、あの、食えない笑みでこれらの書類を運んできた
男に自分が本来片さねばならぬ書類を肩代わりさせていた、という事実も手伝って。借りを作る事を心底嫌う緋眼は、
手に取った書類を懸命に追う。常ならば、綺麗に整えられた執務机が元の状態を取り戻すまで、ずっと。
その期間は丸四日に及んだ。当然、その間一睡もしてない。人間の、限界。目元に色濃いクマをこさえた男は、
押し寄せる睡魔にだらりと、その身を委ねた。黒革張りの椅子の上で。




◆◇◇◆




「おーい、アーネスト、寝てるのかい?」

四日間、部屋から出てくる姿を見ていない、同僚兼親友の様子を見るためにアーネスト=ライエルの執務室に
入ってきた男―オスカーは、ソファで仮眠しているのならともかく、執務机に突っ伏すように寝こけている親友の
姿にやれやれと呆れの溜息を零した。確かに、早めによろしくとは言ったものの。四日間も徹夜させてしまったのには
多少なりと罪悪感が沸いてくる。しかも、彼はつい先日、国外追放の刑を解かれてこちらに戻ってきたばかり。
いきなりこれでは、身体を悪くする。現にそっと覗いた顔色は優れず、目元にはパンダもかくや、というほどのクマ。

「あーあ、起きたら絶対荒れるなこりゃ」

いつも決まって。大量の書類を片した後のこの親友は機嫌が悪くなる。
疲れてるから、というのと本来なら自分がしなくてもいい労働による疲れを齎されたから、という二つの理由で。
でも、今回のは仕方ない。彼がいない間に、滞った仕事なのだから。でもきっと性格上、堪えようとしても彼は荒れるだろう。
そして主な八つ当たりの相手はきっと、自分になるはず。怒った際の親友のおっかなさを熟知したオスカーは先ほどとは
違った意味の溜息を吐いた。

「・・・・・・仕方ない。可哀想だけど、あの子を呼ぼう」

保身のために、この、堅物アーネスト=ライエルが唯一気を許している青年を。
アーネストは彼相手には、行き過ぎた嗜虐を交えた愛情表現をするものの、それなりに気は遣うし、それなりに優しい。
何より、損なわれた機嫌を彼に会えば元に戻すどころか良くするだろうから。

「悪いけど、犠牲になってねカーマイン」

苛められるだろうけど、でもそれはこの捻くれた男の、愛情の裏返しなんだから。
これも試練だと思って耐えて欲しい。それに犠牲者は少ない方がいい。バーンシュタイン城勤務の者全員が
犠牲になるよりは遥かに被害は、抑えられる。そんな、自分勝手とも思える考えのままにオスカーは、
自分以上に多忙だろう、けれど非常にお人好しな隣国の特使殿を呼びにやった。




◆◇◇◆




数時間後、グローシアンの妹に送られて本当にやってきたらしいカーマインをオスカーは迎えた。
そしてそのまま細い腕を取ったかと思えば、有無を言わさずアーネストの部屋に押し込む。わけも判らず
途惑い顔をしたカーマインにただ一言。

「じゃあ、後は宜しくv」

言い残し、重厚な扉を閉め、逃げるように去って行った。残されたカーマインはといえば。
未だに釈然としない顔をしつつも、他にどうしようもないといった態で部屋の主、アーネストの元へと近寄り、
綺麗に片付いた机の上に突っ伏しているその白銀の頭を見下ろす。小さく、寝息が聞こえた。
気持ちよく、寝ているらしい。けれど、こんな場所では身体が痛むだろうし何より、風邪を引くだろう。
途中で起こしたりしたら怒りそうだな、と思いつつもカーマインはアーネストの肩を軽く揺すった。

「・・・・アーネスト、起きて。風邪、引くぞ?」

耳元にそっと囁く。けれど、起きる兆しは窺えない。カーマインはもう少し強く肩を揺すった。しかし、それでも
アーネストは呻き一つ上げず、深い眠りに落ちていた。当然、カーマインは困惑する。相手が彼ではなければ、
もう少し手洗い真似をしてもいいかもしれない。けれど、アーネスト相手にはそうもいかない。手荒な事をすれば、
確実に倍返し以上の事をされるからだ。ではどうすべきか。考えて結局、カーマインはアーネストの身体を自力で
執務室の奥にある仮眠室へと運ぶ事に決めた。向き合った姿勢で脇下に腕を通し椅子から引っ張り上げようとする。
が、当然と言うか何と言うか、あまりに体格の違うアーネストを運ぶには、カーマインには荷が重かったらしく、
アーネスト共々そのままバランスを崩し、床に倒れた。

「・・・・・ったぁ」

不幸中の幸いか、アーネストはカーマインの上に落ちた。床にはぶつかってない。カーマインは息を吐く。
代わりに自分の背が痛むが。自分の胸に埋まる形になったアーネストの顔を覗き込む。流石に、床にぶつかっては
いないものの、多少なりに身体に受けた衝撃で目を醒ましたらしく、緋色の眼差しがゆっくりと顔を出した。

「・・・・・・・?」
「あ、アーネスト・・・・起きちゃった・・・・?」
「・・・・・・・・・・?何を、してるんだお前・・・・・」

カーマインの姿を認めると、アーネストは首を傾げる。声が寝起きのため、少し嗄れていた。もぞっと自分の上で
動かれて擽ったい思いをしつつ、カーマインは答える。なるべく、簡潔に。

「ごめん、椅子の上で寝てると風邪を引くと思ったから仮眠室へ運ぼうとしたんだが、力不足だったらしい」

言われて、アーネストは周囲を見渡す。よく見れば自分はカーマインの細身の上に跨り、執務机の横には倒れた
椅子の姿がある。力不足とは、自分を抱えて移動しようとして倒れた事か、と思い至ったアーネストは口元に
嘲笑にも似た微笑を浮かべた。

「非力だな」

馬鹿にするように言う。それにカーマインはむっとしつつ。

「悪かったな」

頬を剥れさせるように言うものだから。嗜虐心を煽られたいい年した苛めっ子は喜悦に口元を更に歪める。
それから、観察でもするかのように、自分の下で動かぬ細い肢体を眺めた。

「・・・・・・・?アーネスト、いい加減に退いてくれないか」
「何故だ」
「・・・・・・何故って、重いからに決まってる。体格差いくらあると思ってるんだ」
「お前が勝手に倒れたんだろう?」
「それは、そうだけど。でも・・・・・」
「でも、何だ?」

口元に笑みを携えたまま、カーマインに跨ったまま、アーネストは問う。対するカーマインは何となく、今の体勢が
気まずくて顔を赤らめつつ、そっと横を向いた。照れて、いるらしい。可愛らしい仕種。苛め甲斐のある、態度。
アーネストは横を向いた細面を無理やり、顎を掴んで元の向きに戻す。目下の金と銀の瞳が、瞠られた。

「答えられぬのなら、質問を変えてやろう。お前は何故ここにいる?」
「・・・・・それは、オスカーに呼ばれたから・・・・・・」
「何て?」
「・・・・何てって・・・ただアーネストに会いに来て欲しいって・・・・言われて・・・・」
「ふん、アイツ・・・・生贄を寄越してきたか」
「・・・・・・・・・は?」
「何でもない。それにしても・・・・」

床に頭をつけたまま首を傾げるカーマインをじっと見下ろしながらアーネストは更に口を開く。

「・・・・なかなか、いい格好だな」
「・・・・・・・・・え?」

服ではなく、今置かれている体勢を指しながらアーネストは言う。
事故とはいえ、自分の身体は今正に、カーマインを押し倒したように組み敷いた形になっている。
いい格好、というのはこの事。ますます、カーマインが自分の機嫌取りのための生贄に思えてしまう。
しかし、当の生贄はその事にどうやら気づいていないらしい。相変わらずの鈍感ぶりに失笑しつつも、アーネストは
カーマインに自分の立場を分からせ、慌てさせようと、今まで置いたままにしていた手で、組み敷かれた胸を撫でる。

「・・・・・んっ」
「・・・いい眺めだ」

熱の帯びた吐息を交えた囁き声と胸を這う何とも言えぬ甘い痺れにカーマインはアーネストの言葉の意味を解する。
しかしながら、強かに背を打った痛みと服の上からとはいえ、胸を弄られる感触に上手く抵抗が出来ない。
せめて、口だけでも反抗を露にしようかと思ったが、仰ぎ見た、アーネストの顔が何やら青白く。いつも以上に不健康な
顔色を発見して別の言葉が漏れ出る。

「・・・・ん・・・・・っ、アーネスト、顔色が悪い」
「ああ、少し寝不足なだけだ、気にするな」
「寝不足って、早く休まなきゃ、身体をこわ・・・・あっ」

気を、遣った間際。いつの間にか探り出したのか胸の突起を、布の上から抓られる。びくりとカーマインの身体は
その既知の感覚に震えた。逃げようと身を捩るが、ツキンと先ほど打った背がその拍子に痛む。おかげで妙に
引きのある動きになった。不審に思ったアーネストが手を止めて問う。

「・・・・・・・どうした?」
「あ、ちょっと・・・・さっき背中を打って・・・・・・」
「それを先に言え、馬鹿が」

馬鹿、という言葉にカーマインが抗議する前にアーネストはカーマインの横たわった身体をそっと抱き上げる。
驚いているカーマインに構わず、アーネストは自分の腕に収まってしまう細腰の上辺りを撫でた。珍しく、労わるように。
上下に、優しく。思いの外心地よくて、カーマインはアーネストの背に腕を回して抱きつく。小さく安堵の息を吐いた。

「・・・・・少しは、マシになったか?」
「・・・・・・・・うん、ありがと」
「礼など言われる事はしてない。それより、湯にでも浸かった方が良さそうだな」
「・・・・・・・・・・え?」

ひょいとそのままの姿勢でアーネストは立ち上がる。もちろんアーネストに抱きついているカーマインは宙に浮いた。
ちゃんと背を抱えてくれているから、落ちる事はないだろうがカーマインはさっきよりも強くアーネストの背に縋りつく。
そんなカーマインを片手で抱え、もう片手であやしながら、アーネストは仮眠室の横にある扉へと手を掛ける。
椅子にて眠りに着く前、仮眠後に入ろうと湯を沸かしていた簡易の浴室に踏み入ると、そのまま、服を着たままの
カーマインをバスタブの中へと沈めた。

「・・・・・わっ!」

まさか、とは思っていたが本当にそうされるとは思っていなかったカーマインは間の抜けた声を上げる。
それ以上に、湯を含んで肌に引っ付き重さを増す服が気持ち悪い。おまけに服のまま浴槽に入ってしまった事に
自分が悪いのではないにしろ、罪悪感が込み上げた。

「あ、アーネスト・・・・ごめ・・・・」
「何故お前が謝る?俺が勝手にした事だ」
「でも、お湯、汚れちゃうだろ」
「気にはせん、それより早く脱げ」

お前こそ風邪を引くぞと言いつつ、カーマインが脱ぎ始めるより前にアーネストは手を出して、カーマインの濡れた
服を脱がしにかかる。多少手間は掛かったが、手先は割りと器用なのでそんなに大変でもなかった。全て服を剥がれた
カーマインは湯船の中で恥ずかしそうに高潮しながら丸まっている。その姿が、妙に可愛らしくて、アーネストは
濡れた服をバスケットに放りながら、腰を折ってカーマインの俯いた顔を持ち上げ、血色良く色づいた唇を塞ぐ。

「・・・・・・ぅ、・・・んっ・・・・・」

いつもなら、こんな事をされれば次は何をされる事か、と身の危険に緊張するカーマインも暖かな湯の中では
安心しきって脱力してしまう。唇をこじ開けるようにして侵入してきたアーネストの舌を大した抵抗もなく受け止める。
互いの唾液が口内で混ざり合い、粘着質な水音を奏でた。その間に濡れるのも構わず、アーネストの腕が、湯船に
沈み、カーマインの腰を掴む。引き上げられるのかと思い、カーマインはアーネストの首に腕を絡める。
しかし、その予想は半分当たりで半分外れた。

「・・・・ん、ぁふっ・・・・・・な、に・・・・?」
「動くな、落ちるぞ」

まだ口を塞ぎながらも、アーネストはカーマインの身体を少しだけ持ち上げ、バスタブの淵に後ろ向きに
座らせたかと思えば、カーマインの腕を解いて自分はその場に膝を着き屈む。何事かと慌てているカーマインの
腰をしっかりと両手で掴むと、先ほど散々口腔を舐っていた舌先で、カーマインの背筋を舐める。電流を浴びたように
驚いた身体が撓り、落ちそうになるのを、片手を胸へと回して支える事で押さえ込む。カーマインは滅多に
背中を唇や舌で愛撫される事がないので、未知の悦に悶える。肩甲骨の下を吸われ、甘い声が浴室に響いた。

「・・・・・んぁっ・・・・・ぁぅ」
「・・・・何だ、お前・・・・背後も弱いんだな」
「なっ、何・・・・・やっ・・・」

揶揄するような言葉に、カーマインは後ろを向こうとして失敗する。尾てい骨を、舐められて身が竦んだ。
それから気づく。前の方は全く触れられていないというのに、既に蜜を滲ませている事に。恥ずかしくなって
生理的とは違う涙を瞳に浮かべた。

「・・・・・・も、やめっ・・・・くぅ・・・・アー、ネ・・・ト」
「止める?こんなに、させているのにか?」
「・・・ん、あぁっ!」

アーネストの腰を支えていた腕がいつの間にか更に下、蜜を滲ませ起き上がっているカーマイン自身を
握り込んでいた。形をなぞるように指先は動かされ、その甘美な刺激にカーマインは一際高い声を上げ、自分の
雄から流れ出る蜜を塗り広げながら愛撫する腕を剥がそうと掴む。しかし、力を込めようとすれば握りこまれた
それを強く扱かれ、無駄な足掻きに終わってしまう。ぐったりと全身の力を抜くとカーマインは今度は身体を
反転させられた。立膝をしているアーネストと向き合う。首を傾ぐ暇もなく、アーネストの眼前で震えている熱源を
口に含まれる。あまりの恥ずかしさにアーネストの髪を掴むが、さして力は入っていない。

「アー・・・ネスト、やだ・・・やぁ・・・・んんぅ」
「断る」
「ことわ・・・・って・・・・ふぁ、はっ・・・ぁ・・・」

敏感な先端を尖らせた舌先で突付かれ、筋が浮き上がってきている幹を唇を窄めて扱かれれば、与えられる
その絶大な快楽に逆らえず、カーマインは上下するアーネストの頭を思わず押さえ込んでしまう。その反応に
小さく笑って、仕上げとばかりにアーネストは探り出した最も脆弱な箇所に歯を立て、強く吸い上げる。
もう、とっくに限界を迎えていたカーマインは煽られるままに素直に白濁を自分を咥えている熱い口腔に吐き出した。

「ふっ・・・ぁう・・・・も、何す・・・んだ」
「お前が、誘うような顔をするからだ」
「そ、なのしてな・・・・あ、いっ・・・・」
「まだ、背中が痛むのか?」

切れ切れの文句の途中でカーマインが眉を顰めたのに気づき、アーネストはバスタブの淵に固定していたカーマインを
再び湯の中に入れた。カーマインは文句を言ったところでまたいつものように強引に抱かれるかと覚悟していたので
そのアーネストの行動の意外さに色違いの瞳をぱちぱちと瞬かせた。

「・・・・・アーネスト?」
「大人しくしてろ。下手に動けば余計に悪くする」
「・・・・・・・・・・・・・・」

強引に手を出してきたアーネストに言えた事ではないんだろうが、まあその通りだとカーマインは大人しく湯船に浸る。
しかし、ちらりと横目ですっかり自分同様に濡れてしまっているアーネストを見遣った。そして視線が合う。

「・・・・・何だ?」
「いや、その・・・・あの・・・・」
「気になるか?」

濡れた服も気にはなるがそれ以上に。カーマインはいつも行為の時にアーネストが口にする事を思い出して顔を赤らめる。
それは何かと言えば―――

「お前の声は悦い声だからな。聞いただけでこうだ」

言って、アーネストはカーマインの手を取ると、濡れる事も構わず、自分の下肢へとその綺麗で穢れのない指先を
導いた。服越しでも分かる、熱く反応しているアーネストのそれ。今まで触れた事のない場所に服越しとはいえ触れさせられ、
カーマインはこれ以上なく顔と言わず全身を紅くする。ぱくぱくと声にならぬ何かを必死で呟き、押し当てられている
指先を外そうと自分に引いてみるが、ビクともしない。

「ちょ、・・・・アーネスト?!」
「責任は、取ってもらうぞカーマイン」
「は、何?責任って・・・・ええ?!」
「背を痛めているようだからな、挿れはしないが・・・・手くらいは貸せ」

不敵に笑むとアーネストは自分の下着の中へとカーマインの手を取って熱く滾る自分自身を握らせる。
カーマインは自分のものすら触れた事がないのにと唖然とした。けれどアーネストは全く離す気がないらしい。
それどころか、混乱しているカーマインの手を動かし、手淫を施させていく。握ったものの熱さと、次第に増す質量に
ぎゅっとカーマインは目を閉じる。

「ん・・・・・・熱い、よ・・・・アーネスト」
「・・・・・・っ、もう少し、我慢しろ」

息を詰まらせたアーネストにカーマインは驚いて、閉じた瞳を再び開けた。バッと上を仰ぎ見る。いつもは何があっても
殆ど表情を変えないアーネストが、何かを堪えるように眉間に皺寄せ、少しだけ頬を上気させていて。その表情が、
とても艶やかでカーマインもつられて頬を染めた。そして思う。いつもアーネストは自分を抱く時にこんな顔をしているのかと。
快楽を追うのに必死で、殆ど行為中にアーネストの顔を見た事がなかったカーマインは初めて知るそれに心拍数が異常に
上がるのを自覚した。それと同時、アーネストの熱源に触れている指先がとろとろと上から流れてくる何かを捕らえて
濡れる。くちゅくちゅと卑猥な音すら聞こえ、カーマインはアーネストの限界を悟った。

「あ、アーネスト・・・・・・」
「もう、離してもいいぞ」

掠れた声でアーネストはカーマインの耳元へ囁くと再度カーマインの唇を深く犯しながら達する。
口を解放された頃には、珍しく吐息を乱しているアーネストの姿があった。カーマインは恐る恐るほんの少しだけ脱力
しているアーネストに声を掛ける。

「あの、アーネスト・・・・・」
「・・・・・・どうした」
「あ、俺・・・・・もう逆上せそう、で・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」

本当に。アーネストの男の色香が漂う顔を見ていて、カーマインは恥ずかしさと高揚で逆上せそうになっていた。
だがしかし、立ち上がりかけた細身の肢体はアーネストの腕によって押し留められる。

「・・・・・・アーネスト?」
「もう少し、付き合え」
「・・・・・・・・・あ」

手早く濡れた服を脱いで、カーマインが浸かっている湯船へとアーネストも身を沈めた。対になる形で。
それから逆上せぬようにか、向かいで目を白黒させているカーマインを抱き寄せ、身体の殆どを湯から出させた。

「あ、アーネスト・・・・・何!?」
「・・・・・物足りぬのを我慢してやってるんだ、お前もこれくらい我慢しろ」
「だ、だからって・・・・」
「俺は疲れてるんだ」
「だったら尚更、俺なんか抱き上げてたら疲れるだろう!?」

筋の通らない事を言うアーネストにカーマインは声を荒げるものの、次にアーネストの口から漏れる言葉に思わず絶句する。

「・・・・お前を抱いていると落ち着くんだ」

しみじみと熱い湯に溶けるようにして呟かれた内容に、抱かれている時よりも、アーネストのものに触れさせられた時よりも
カーマインは紅くなった。そんな、甘い言葉、まさかアーネストの口から出るなんて思ってもいなかったから。
そっとカーマインはアーネストの事を抱き返す。

「・・・・・・・・結局、奴に借りを作ったか」
「・・・・・・・・・え、何か言ったか?」
「いや、何でもない」

何の含みもない優しい微笑で返しながら、アーネストはそっと脳裏にあの食えない笑みの友人を浮かべる。
彼にだけは借りを作りたくはなかったが、今こうして自分の一番愛しい存在を腕に抱いて至福の時を味わえるのも
どうせ保身を図るためだろうけれども、彼がここへカーマインを呼び寄せてくれたから、だ。
故に借りを作った事になる。そうとは、知らないカーマインはただただ不思議そうにアーネストを見ていた。
アーネストはそんな無防備なカーマインにキスをして、漸くカーマインを抱いたまま浴槽から出る。

「・・・・・・今日の分は次回に回すからな、倍で」

すっかり気の抜けてしまっているカーマインに、最後の爆弾を落とし、アーネストは真っ白なローブを身に纏った。
ちなみに彼の言うところの次回とは、背の痛みが消えた後に大事を取って泊まる事にしたカーマインが眠りへつこうとする
直前である事を今はアーネストの落とした爆弾発言に放心している青年は知らない。




fin



うおー、意味がない意味がない(まさしくやおい!)
そして微妙なくせに情事がちょっと長い気が・・・・・。しかも手淫て。
流石に口淫させるのは可哀想だと思ったらしいんですが黒アニーさんは。
でもそのうち恐らくさせるようになるかと。と言うか今回そんなにアニーさん黒くない・・・?
でも夜に結局倍返しだから気遣った意味がないですよ黒アニーさん・・・・(嗚呼)

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